告発が見送られて刑事事件が回避されて不起訴となった事例

中堅ソフトウェア会社が疑われた犯罪

雲を背景に建つ白い教会私が2年前まで在籍していたソフトウェア会社は、地方に本社を置き、当時の従業員が250名程の企業です。
主な業務内容はソフトウェアの受託開発、そして、一部、人材の派遣も行なっていました。
従業員の90%が技術者です。
日本全体の景気が決して良いとは言えず、中小規模の同業他社と同様に、業績は芳しくなく、従業員全員に割り当てられる程の仕事量がなく、賞与の削減はもちろん、給与の一部も削減される状態でした。

会社が始めた新しいプログラムで問題が発生しました

ここで会社は、厚生労働省による雇用調整助成金を受ける決断をしました。
この制度は雇用保険の適用によって、景気減退などの理由で会社の事業規模の縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用を継続して(解雇することなく)、教育訓練に参加させたり、他社へのスキル開発を名目として無償で出向させたり、あるいは、休業させる代わりに、国から助成金や休業補償費を受けるという内容です。
助成金を受ける条件は満たしており、実際に、仕事がなくなった従業員を順に、他社へ出向させたり、教育訓練を受けさせたりしていました。
私も出向していました。

労働局に内部告発のたれ込みがあり、会社が加担した犯罪が発覚しました

しかし、それから2年間の間に、「実際には存在しない社内の教育研修プログラムに従業員が参加した」という虚偽の報告があったとして、管轄の労働局が立ち入り調査に入りました。
社員の内部告発によって発覚したと聞いています。
この立ち入り調査によって、2年間で1億円超を不正受給していたことが判明しました。
当時の社長は「社内研修の場合、講師が不在の期間や自習時間も制度の適用内であると解釈した」と弁明しましたが、労働局の見解は「認識不足による手違いではなく、明らかに意図的な改ざんがされた証拠がある」ということで、労働局のホームページ等に公表されました。

会社は謝罪し、起訴は見送られました

会社は全額を返還したことで、労働局は刑事告訴を見送り、刑事事件にもならず、不起訴と同様の扱いを受けました。
結局、当時の社長1人が責任をとって辞職し、一部の取締役の給与が削減された程度で終わりました。
この当時、受給した助成金額の大小は違えど、全国的に同様の会社が報告されており、労働局も刑事告訴を見送ったのではないかと思います。
もし、告訴されていれば、間違いなく、起訴されていたはずです。